いびきの治療と原因

もっと早く睡眠時無呼吸症候群を治療しておけば、心筋梗塞・脳梗塞にはならなかった、あるいはなるのをもっと遅らせたでしょう。

いびきが病気といわれる怖い理由

いびきが病気といわれる怖い理由

いびきが病気といわれる怖い理由

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「騒音」から「病気」へ

健康面からいびきの問題が取り上げられるようになったのは、30年くらい前からです。

1976年、アメリカのギルミノー博士が眠っている間の無呼吸と、それに伴う大いびきで睡眠障害をきたしている人に「睡眠時無呼吸症候群」(SAS)と定義付けました。

単なる「騒音」から、れっきとした(?)「病名」に昇格したのです。

それ以前にも欧米では、「ピックウィック症候群」という病気が知られていました。

ピックウィックとはイギリスの作家ディケンスにちなんでつけられた名前です。

登場人物のジョーがとても太っていて、昼間は居眠りばかりしていることに由来します。

過度の肥満、日中の強い眠気、睡眠中の異常な呼吸、心不全などの症状が特徴で、当初は心臓の病気と考えられていました。

ところが、睡眠中に繰り返される無呼吸によるものということが分かり、睡眠中の呼吸障害と健康の問題との関連がにわかに注目されるようになりました。

その後の研究で、睡眠時無呼吸症候群は患者の平均寿命が短いことや、交通事故、失業、離婚にまで影響を及ぼしていることが分かり、注目を集めるようになったのです。

目覚めよ、アメリカ!

1993年、アメリカでショッキングなレポートが発表されました。

『Wake Up America』(目覚めよ、アメリカ)と名付けられたそのレポートによれば、全米で約4000万人が睡眠時無呼吸、不眠などの慢性的な睡眠覚醒障害を患っていて、さらに2000~3000万人は睡眠に関連した障害を時々経験し、数百万人はライフスタイルの変化や仕事のスケジュールにより十分な睡眠を取れていない――その結果、生産性の低下・認知能力の低下・事件の増加・死亡率の増加が生じ、それらがあらゆる面に影響を及ぼし、直接的な経済損失は最低でも159億ドルにものぼるというのです。

さらに、鮮烈な記憶を残したスペースシャトル・チャレンジャーの事故やスリーマイル島の原発事故なども、睡眠障害が間接的原因になっていると警告しています。

これを受けてアメリカでは、本格的な「いびき対策」が始まりました。

今では300もの睡眠センターが開設され、多くの人が治療を受けています。

一方、日本ではいびきや睡眠障害についての取り組みがまだ不十分なところが多いようです。

『Wake Up America』のデメント博士は1997年の来日時に、日本も睡眠呼吸障害についてもっと目を向けるよう「Wake Up Japan!」というメッセージを残しています。

目覚めよ、日本!

日本のマスメディアが睡眠時無呼吸症候群を取り上げるきっかけになったのは、2003年(平成15年)に山陽新幹線で起きた居眠り運転です。

運転手の居眠りの原因が睡眠時無呼吸症候群と報じられて話題になりました。

今では、バスや電車での居眠り事故が起こると睡眠時無呼吸症候群が疑われるようになりました。

SASという言い方も広がっています。

しかし、事故を起こした当人たちには病気の自覚がないことが多いようです。

研究や啓蒙が少しずつ進んでいるとはいえ、睡眠時無呼吸症候群の頻度を考えれば、いびき治療のために病院・医院を訪れる人はごくわずかです。

しかし、無呼吸を繰り返すタイプのいびきは最悪の場合、突然死することもあります。

また、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす要因の1つです。

さらにメタボリックシンドロームとの関連も指摘されています。

組織がますます巨大化、複雑化する現代社会では、個人の判断ミスが大事故につながりかねません。

いびきの怖さや治療の重要性をもっと広めるために、「Wake Up Japan Again!(再び目覚めよ、日本!)」の思いで向き合う必要があります。

睡眠時無呼吸症候群が原因の主な事故(概要と処分内容)

2002年8月 和歌山県古座町で、乗用車が中央線を越えて対向車と衝突。けが3人→2005年2月、大阪地裁が無罪判決。OSAS(閉塞型睡眠時無呼吸症候群)の自覚がなく責任が問えない
2003年2月 山陽新幹線で運転士が居眠り。けが人なし→2004年3月、岡山地裁が起訴猶予。本人にOSASの自覚がなかったと判断
2003年6月 茨城県で、乗用車が中央線を越えて対向車と衝突。1人死亡→2005年3月、水戸地裁が禁固2年6ヶ月執行猶予4年の有罪判決
2003年10月 名鉄新岐阜駅で電車が車止めに衝突。けが4人→2005年3月、岐阜県警が書類送検
2004年3月 羽田発宇部行きのANA機で、機長が居眠り。けが人なし→2004年7月、ANAが訓戒処分。OSASと緊張感の欠如と判断


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