いびきの治療と原因

もっと早く睡眠時無呼吸症候群を治療しておけば、心筋梗塞・脳梗塞にはならなかった、あるいはなるのをもっと遅らせたでしょう。

治療が必要な場合

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睡眠時無呼吸症候群と診断される時:

1時間あたり5回以上の無呼吸・低呼吸があれば睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

自覚症状も必要です。

最近は、AHI15以上では日中の傾眠が確認されなくても、将来高血圧症や心臓病などにかかる危険が高くなるという研究から、自覚症状の有無にかかわらず、睡眠時無呼吸症候群と診断すべきという考えもあります。

*閉塞型と中枢型

睡眠時無呼吸症候群には閉塞型と中枢型がありますが、鑑別はポリソムノグラフィー検査ではっきりします。まず口および鼻での気流が停止していれば無呼吸があることが分かりますが、さらに胸部や腹部の動きも止まっていれば、その無呼吸が中枢型のものと分かります。

一方、閉塞型は胸部・腹部は呼吸運動をしていますが、動きが逆になり、有効な換気運動になっていません。

中枢型と閉塞型では原因や経過が異なるので、どんなタイプの睡眠時無呼吸症候群なのかを見極める必要があります。

*治療を判断する3つのポイント

睡眠時無呼吸症候群と診断されても、いつから、どんな治療を始めるかは患者さんの状態によって異なります。

その判断をする際に医師が最も考慮するのは重症度(AHIの値)、自覚症状、睡眠時無呼吸症候群に伴う合併症の有無です。

(1)AHI(無呼吸・低呼吸指数)の値:

AHIは睡眠中の無呼吸・低呼吸の回数を睡眠時間で割ったもの、つまり1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数です。

指数が大きいほど無呼吸が頻繁に起きていることになるので、睡眠時無呼吸症候群の重症度を表す指標としてよく使われています。

AHIによる重症度分類

軽症 5≦AHI<15
中等症 15≦AHI<30
重症 AHI<30

この重症度分類では、AHIが15以上で睡眠時無呼吸症候群の中等症、30以上で重症となります。

これはAHIが30以上になるとその後の高血圧症や心臓病が明らかに増えるというアメリカ・ウィスコンシン州の大規模調査が根拠になっています。

しかし、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の患者さんを長期的に見た時、AHIが20以上でもその後の経過が良くない(早死にする)ことが分かっています。

そこで、「AHI20以上」が積極的に治療を開始する1つの目安となっています。

現在最もよく使われているのはCPAP治療ですが、厚生労働省が定めた適応基準もAHI20以上です(ちなみにアメリカの適応基準は5以上。

30以上になると自覚症状がなくてもCPAPの治療対象)。

また、睡眠時無呼吸症候群の重症度をみるのに、パスルオキシメータによる低酸素血症の程度の把握も重要です。

重症だと無呼吸に伴う低酸素血症が前睡眠にわたってみられますが、特にレム睡眠時に重度の低酸素血症が認められるのが特徴です。

重度の低酸素血症は、様々な合併症の要因になるので、早急な治療が必要になります。

CPAPの適応基準

A.厚生労働省の健康保険上の適応基準1)PSG検査でAHI≧20。覚醒時の眠気などの自覚症状がある場合2)簡易検査でAHI≧40。自覚症状がある場合
B.米国胸部疾患学会議が示した適応基準1)AHI≧30。自覚症状の有無は問わない2)5≦AHI<30で、覚醒時の眠気などの自覚症状、合併症がある場合

※AHI≧30では、高血圧症の発症が増加するため

(2)自覚症状:

自覚症状がどの程度のものなのかも、治療を考える時の大事な要素です。

睡眠時無呼吸症候群の重症度が「軽症」の場合でも、自覚症状が強ければCPAP治療などを勧めることになります。

しかし、自覚症状が軽いと、治療の継続が難しいという問題があります。

「中等症」「重症」と判断された患者さんには、合併症予防の観点からも治療を続けていただきたいものですが、本人にあまり自覚症状がない場合、どうしても長続きしない傾向があります。

明らかな自覚症状がみられない場合には、CPAP治療ではなくマウスピース治療が勧められることもあります。

なお、眠気評価にはESSが広く使われていますが、アメリカ睡眠医学会の「眠気による重症度分類」も参考として載せておきます。

軽症 あまり集中力を必要としない状況で眠ってしまう(例:テレビを見ている時、読書中、車の助手席に乗っている時)社会的、職業上の支障はほとんどない
中等症 多少集中力を要する状況で眠ってしまう(例:コンサートに参加している時、会議中など)社会的、職業上の支障がある
重症 より集中力を要する状況で眠ってしまう(例:食事中、会話中、歩行中、運転中など)社会的、職業上明らかな障害となる

(3)合併症:

患者さんがほかにどんな病気を持っているかを考えることも大変重要です。

特に睡眠時無呼吸症候群の原因になりやすい病気(肥満、代謝異常など)や、睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされたり悪化したりする可能性がある病気(高血圧症、心不全、不整脈、糖尿病、脂質異常症、脂肪肝、高尿酸血症、赤血球増加症など)がある場合は、積極的に治療することになります。

中でも虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳血管障害(脳出血、脳梗塞など)がある場合は、悪化や再発を防ぐために、できるだけ早く睡眠時無呼吸症候群の治療を始めるべきといえます。

大抵の患者さんはいびきを小さくしたい、昼間の眠気を何とかしたいという目的で受診しますが、医学的にはむしろ合併症の改善が重要です。

実際に睡眠時無呼吸症候群の治療を始めてから血圧が下がったり体重が減ったりすると、患者さん自身も治療の必要性を実感することができます。


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