条件1 情報は隠さずフルオープン
可視化経営を実現する組織の第1条件は、『開放されている』ことです。
内と外とが閉ざされておらず、物質やエネルギー、情報などの交換が行われるシステムです。
個々の社員は、自分の情報を仕舞い込まず、各部署、各拠点も特別な社外情報を除いてオープンにします。
「何でもオープンにしたら問題が起こる」と抵抗感もあるでしょう。
しかし、隠そうと思っても隠せないのが現実ではないでしょうか。
隠しているつもりが実は丸見えだったという方が1番リスクになります。
実際に、経営者がオープンにしたくないと思っている業務を行っている社員もいるわけです。
かつてのように、会社が社員の一生を面倒見て、社員も滅多に辞めないような組織だったら「黙っておけ」と口封じもできたでしょう。
しかし、人材の流動化は当たり前になり、開放系になってしまっています。
隠そうと思っても隠せないのであれば、いっそ原則フルオープンとし、その上でどうするかを考えた方がよいのです。
もちろん、無用な情報のオープン化がよくない面もあるでしょう。
全社員の給与を公開したり、評価をオープンにしたりする必要はありません。
そうした人間の嫉妬や蔑みを生み、必要以上の他社比較させるような情報まで開示すべきではありません。
また、秘伝のレシピなどもオープンにする必要はないでしょう。
それ以外の情報を原則フルオープンにします。
オープンにできないものは、そこに公正さ、公平さがあるか十分吟味すべきでしょう。
「情報をオープンにする」ということは、情報の提供だけでなく、オープンに情報を受け容れることでもあります。
「他人のことは知らない」「他部署のことは関係ない」という姿勢ではなく、広く関心を持ち、情報をキャッチするアンテナを掲げていなければなりません。
このように、組織が『隠さずフルオープン』状態になり、外部とエネルギーや情報の交換が行われると、組織内に“揺らぎ”が生じ、非平衡状態になります。
バランスが崩れ、衝突や摩擦も起きてきます。
安定した時代には、こうした状態はよくないことのように感じたものですが、これからの時代に新しいものを生み出していくには、多少バランスが崩れて“揺らぎ”があることが必要なのです。 (さらに…)