●背伸びしていない計画づくり
計画策定でよく誤解されるのが、「やるべきことをどんどん計画の中に落とし込まなければならない」という考え方です。
この考え方で行くと結局何も手が付けられずに放置される事項が発生します。
それは、実行できる範囲の量の「やるべきこと」であれば問題がないのですが、考えつくモノを「あれもこれも」と詰め込んでしまって、結局やらなかった、できなかったと、いったことになるのです。
ですから、目安としては、「計画通りに実行すれば必ず目標が達成できる」という必要最小限レベルの落とし込みです。
例えば、決算期末などの会社における区切りは、そもそも税金を徴収されるために決められたルールであり、一方、会社の仕事は区切りなく日々続いています。
そのように続く業務の中、1年間の見直しも満足に行われずに、新しくやるべきことを次々と追加してしまうと、多くの会社では、それまでの業務で手いっぱいで、余裕がなくいくら時間があっても足りないといった状況になってしまいます。
消化不良のままで、放置されてしまうのは当然のことです。
●計画は、通常業務があるという前提で立てましょう。
ここであるフライチャイズチェーン本部のA社の事例を説明します。A社の商品部門は15のカテゴリー別れており、それぞれの担当バイヤーが配置されています。
そこに、「もっと現場の情報を収集・分析した上で商品政策を決定し、仕入れ先との交渉に活用する」という方針が立てられ、バイヤーはより精度の高い現場情報を収集する必要が出てきました。
当社は、全国に約1,000店舗を展開しており、バイヤー自身が情報を収集するのは不可能です。
そこで運営部門のスーパーバイヤーに情報収集を依頼することになりました。
スーパーバイヤーは、一人当たり5~10店舗程度の担当店をもって日々訪問活動を行なっていますので、無理なく作業できるのではないかと考えられたのです。
ところがその目論見は大きく外れることになります。
商品カテゴリーごとに配置されている15名のバイヤーが、自分の仕事の都合に合わせてスーパーバイヤーに情報収集を依頼したため、スーパーバイヤーのところには、ひっきり無しにメールが届き、それが溜まっていった結果、情報収集どころか通常業務さえも滞ってしまったのです。
この事例からも分かるように、どんな会社でも、ビジネスを成立させるためにやらなければならない日常業務は存在するのです。
今の景気状況では、ほとんどの会社ではギリギリの人員で日常業務をこなしているはずです。
ですから、計画は現状の見直しからスタートするのです。
「現状行われている業務は、うまくいっているのか」「問題があるとすればどこなのか」「その問題なぜ発生しているのか」「昔からの慣例で行なっている業務で、不要な業務はないのか」「他部署との連携はうまくいっているのか」など、見直しの際には、メンバー全員の声を聞くことを忘れないようにしてください。
一口に問題といっても、担当している業務の違いで、認識の仕方も当然異なる場合があるのです。
計画を策定するには、まず現状の業務を整理して、その上でどんなことなら実行できそうなのか、現実的なレベルでの計画をつくりしましょう。
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