PDCAの極意

典型的なマネジメント手法をなぜか実践できない人が多いのです。ここでは、その実践できない理由を解説します。

目標に合ったKPIを設定しましょう

目標に合ったKPIを設定しましょう

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●KPIで的確な振り返りを行ないましょう。

先にも少し触れましたが、KPIとは、Key Performance Indicatorのことで「重要業績評価指針」と訳されているものです。

企業においては、売上・利益といった結果が最終的に求められるわけですが、その目指すべき結果がもたされているのかどうか、すなわち、経営が順調に行われているのかどうか判断できる指針としてKPIが重要視されてきています。

「重点顧客との面談時間」「商談で成果を上げるまでの時間」など、KPIが正しく設定されていれば、振り返りは簡単にできます。

事例を挙げて説明しましょう。

◎小売・サービス業のKPIは…

一般消費者向けの小売・サービス業では、売上げは「客数×客単価」に分解することができます。

売上げが減少している場合は、客数が減少しているのか、客単価が減少しているのか、あるいはその両方とも減少しているのかが、最初に確認すべき指標です。

仮に客数が減少している場合、どのような属性の客が減少しているにかを把握することができれば、減少要因を明らかにするための要素が見えてきます。

例えば、新規、既存、男・女、年齢層、職業など、顧客属性が明確になっている方が、さらに詳細な分析を進めやすいというのは理解できると思います。

その客数情報を、さらに日単位で取得できれば、その日ごとの客数推移を確認することで、減少要因を絞り込んでいくことができます。

そして、天候、地域のイベント、自社の販促施策、競合がとっている施策など、どのような要因で客数減少が起きているかがほぼわかります。

一方、客単価が減少している場合は、客単価をさらに「1品当たりの単価×買い上げ点数」と分解することができます。

そして、商品を軸とした売上げ傾向と比較しながら、低単価の商品に流れているのか、あるいはプラス1品のような訴求が弱くなっているのか、といった観点で減少要因を絞り込んでいくことが可能になります。

それぞれの企業によっても多少異なりますが、小売・サービス業における「客数」「客単価」は基本的なKPIとして不可欠な項目になるでしょう。

ここで、強化すべき主力商品や強化すべき顧客属性が定まっているのであれば、その主力商品、顧客属性に関する項目をKPIとして加えます。

その時点で設定したKPIを向上するために立案する改善策(A)を実行するための計画(P)をつくり込んで、それをスピーディーに実行(D)、評価(C)という流れをつくれば、短期間でPDCAサイクルを回転させることが可能になるでしょう。

◎自動車販売会社のKPIは…

自動車販売会社では、自動車という商品の特性上、詳細な顧客情報をベースにビジネスを展開しています。

既存の客では、顧客が所有する車種や使用年数、車検年月といった情報は把握していますし、営業マンがフォローしていれば、自動車の状態や家族構成までも情報収集しており、それらの情報に基づいて営業活動を行なっています。

一方、既存の客が他社車種を求めて離れていく場合も起こりますので、新規顧客の獲得も必要です。

ここでは、その新規顧客の獲得KPIについて取り上げます。

例えば、ある会社では、KPIに次の項目を設定しています。

(1)新規来店客数:ショールームに来場した新規の顧客

(2)見込み客数:(1)のうち、アンケートに記入した人(住所、電話番号、氏名などの基本情報入手)

(3)HOT客数:(2)のうち、購入希望車種が決定して試乗をした人

(4)A-HOT客数:(3)のうち、下取り車の査定をした人

(5)成約客数:(4)のうち、購入を決定した人

としています。

新規来店客数は新型車発売の有無で大きく増減しますが、そのうちどれだけの顧客情報を取得して見込み客に移行できたかどうかは、その営業所、あるいは営業マンの営業力で変わります。

先の会社では、アンケート回収率の(2) ÷(1) は、上位店舗は90%の数値になりますが、下位店舗は50%程度の数値になるケースがあるそうです。

自動車は、高価な買い物なので、「ここでは買わないと」と判断すると、アンケートに記入してもらえない場合があるのです。

この上位店舗と下位店舗の違いは、接客姿勢を確認すると、大きな差が出ていることが確認できたのです。

例えば、客がショールームに来店する際の迎え方の仕方や挨拶の仕方、その後会話する内容、アンケートを依頼するタイミングなど、上位店舗ではKPIを上げるためのきめの細かい工夫がなされていました。

こうして、下位店舗の新規顧客獲得がうまく行かない理由・改善すべきポイントは接客対応にあると早い段階で見極めて、対応することができるわけです。

◎専門商社のKPIは…

どのような商社でも、顧客管理はしています。

顧客である取引会社がどの商品を年間どのくらい購入しているのか、そのうち自社の売上高はどのくらいあるのか、を把握すればインストアシェア(=ISS:取引先の全売上げに占める自社商品の割合)が判明します。

自社の売上高の大小とISSの大小で4つの属性に分けることが可能になります。

ここではわかりやすくするため4つの項目で説明しますが顧客数が多い場合は9つにした方が営業マンとしては働きやすい場合もあります。

(1)売上高大・ISS大:現在良好な関係を構築できている

(2)売上高大・ISS小:自社の売上げは高いが、顧客の規模が大きく拡販の余地が大きい

(3)売上高小・ISS大:顧客の規模は小さいが、自社が主要仕入れ先になっている

(4)売上高小・ISS小:自社の売上げは低く、拡販の余地は大きい

の4項目です。

ここで売上げ拡大を狙っているのであれば、ISSの小さな(2)、(4)の顧客に注力しなければならないのは明らかです。

もちろん、(1)の顧客との良好な関係を維持することも必要ですが、(2)、(4)に対す拡販活動を優先した上で、いかに効率的に取り組んでいくかという視点が重要です。

このような場合どのようなKPIが考えられるでしょうか。

まず、(1)~(4)のそれぞれの顧客数を知ることが重要です。

全社、部門、営業拠点、営業マン、それぞれの切り口で現状の数をしっかりと把握することです。

もちろん(1)の数を増やしていくことは必要ですが、そのためには(2)、(4)をランクアップさせることが不可欠だということがわかります。

一方で、(4)の数がランクアップによって数が少なくなる可能性があるので新規開拓によって一定以上の数を確保することも重要です。

ですから、もう一つのKPIは、(2)、(4)、新規開拓といった、いまだ関係が希薄な注力すべき顧客に対する面談時間を極力増やしながら関係構図を図ることで、ISSの向上や新規取引開始を実現させていくわけです。

もし、目標に対する進捗状況がはかばかしくない場合、(1)~(4)のどの属性が悪いのかはすぐにわかります。

(2)、(4)を伸ばせていないのであれば、注力すべき顧客の面談時間が確保できているのかどうかを確認し、不足しているのであればその要因を探った上で、障害を取り除く必要があります。

もし確保できているのであれば、現場での営業・商談力が問題となっている可能性があるため、営業マンのスキル不足なのか、会社として商品力の問題なのか明らかにして対応しなければなりません。

このように、原因追及のルートをスピーディーに絞り込んでいけることが、KPIに求められる条件なのです。


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