究極の相続税対策

“大増税時代”に備え、賢く節税しながら、残された家族が困ったり争ったりしないよう「相続対策をすること」は、今後は必須となることでしょう。

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いよいよ“大増税時代”の幕開け

  • 東日本大震災の復興予算の財源確保のため、平成25年1月1日から所得税を2.1%上乗せする「復興増税」が始まり、個人住民税も平成26年4月から1000円が上乗せされ、消費税も平成26年4月から8%に、平成27年10月には10%になることが決まりました。
  • さらに、所得税の最高税率アップと、相続税の基礎控除の引き下げと最高税率の引き上げについても平成25年の税制改正大網に盛り込まれ、2年後から実施される方針が打ち出されました。
  • 現在は、亡くなられた方の数に対する課税件数の割合は4%程度なことから、それを倍近くに増やすことを目的とした改正が予定されています。
  • 改正が決定すれば今まで相続税の課税対象だった方には、さらに相続税が増えることは確実でしょう。しかし、生前や申告時に適切な対策ができれば、節税の余地はまだまだ残されているのです。
  • “大増税時代”に備え、賢く節税しながら、残された家族が困ったり争ったりしないよう「相続対策をすること」は、今後は必須となることでしょう。その時の羅針盤として、これを参考にしていただければ幸いです。

相続税改正の要点

  1. 基礎控除額の引き下げ(平成27年1月1日~) 現行:5000万円+1000万円×法定相続人の数→改正後:3000万円+600万円×法定相続人の数
  2. 最高税率が50%から55%に引き上げ(平成27年1月1日~) 相続税の最高税率を現行の50%から55%に引き上げ、6段階を8段階に
  3. 小規模宅地等の対象面積拡大(平成27年1月1日~) 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積 現行:240平方m→改正後:330平方mに
  4. 未成年者控除・障害者控除の改正(平成27年1月1日~)
  5. 事業承継税制の見直し(平成27年1月1日~)
  6. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(平成25年4月1日~平成27年12月31日まで) 受贈者(30歳未満の者に限る)の教育資金に充てるためにその直系尊属(親や祖父母など)が金銭により金融機関に信託等をした場合には、信託受益権の価額または拠出された金銭等の額のうち受贈者1人あたりにつき1500万円(学校以外の者に支払われる金銭については500万円)までは贈与税が非課税
  7. 暦年課税贈与の贈与税税率構造の改正(平成27年1月1日~)
  8. 相続時精算課税制度の適用要件の見直し(平成27年1月1日~)

2億円以上節税できた相続ストーリー

  • 大抵の方は、いざ相続といっても、実際にはどういう順番で何から始めるのかイメージできていないでしょう。
  • だからこそ、相続のプロに依頼し、適切な対策を取ることで確実な節税を実現できるのです。
  • 父親を亡くしたSさん(30代)は、親戚から紹介された税理士に相続の手続きをお願いするつもりでした。
  • しかし、質問しても回答がなく、信頼できそうになかったのでキャンセルしました。
  • 次に、インターネットで「相続に強い」という公認会計士を探して依頼しました。
  • ところが、3ヶ月半も何の進展もなく、不安を募らせるだけでした。
  • 「この状況を何とかしなければ」と、Sさんは自ら相続の基礎知識を学ぼうと、本屋で本を買ってきました。
  • そして、相続コーディネーターの存在を知り、次姉(40代)と2人で相談することにしました。
  • Sさんのうちは地元でも有名な地主の家系で、財産の大部分が土地です。
  • 相続人はSさん、母、次姉、10年前に亡くなった長姉の3人の子どもの計6人。
  • これまでも相続の度に土地を少しずつ切り売りしてきましたが、長男としては先祖代々の土地をできるだけ残したいという切実な思いがあります。
  • 相談に来たのは申告期限まで4ヶ月あまり。
  • 切羽詰まった感じでしたが、節税の成果は出せると判断したコーディネーターは、節税に向けての動きをスタートしました。
相続対策前の状況
項目 評価額(万円) 構成比(%)
資産 土地 105453 89.73
建物 2107 1.79
貯金・預貯金 9585 8.16
有価証券 59 0.05
その他 316 0.27
(I)資産合計 117520 100
負債 葬式費用 375
借入金 3464
未払金 1181
(II)負債合計 5020
(I)-(II)=純資産価額 112500
対策前の評価額 11億2500万円
相続税予想額 3億2475万円
現金・預貯金 9585万円
節税できないと納税資金が不足する

STEP1 財産の確認

タイムスケジュール(1ヶ月目) やるべきこと
12月 ●父親が亡くなり、相続開始
●役所に死亡届を提出。年金の手続きをする
●金融機関に相続の連絡をし、口座を凍結
□相続財産・債務の確認に必要な書類を揃える
【不動産】固定資産税の評価証明書や名寄せ帳、固定資産税納付書の明細でも可
【預貯金】住宅ローンなどの借入金、医療費などの未払い債務、未納の税金、葬式費用など

□相続人を確認する
戸籍謄本等を取得し、相続人の確認をする。他に実子はいないか、養子、認知はないかを確認

□遺言の有無の確認
貸金庫、自宅の金庫などに公正証書遺言、自筆遺言書があるか確認
1月 ●役所で戸籍関係の書籍を入手(出生地からは郵便で取り寄せ)
※戸籍等は「出生から死亡時まで」途切れなく揃える
●金融機関で残高証明書を取得。貸金庫を確認するが、遺言はなし
キーポイント:死亡届と預貯金の凍結
  • 死亡届は死亡者の本籍地、死亡時または届出人の住所地の市区町村役場に届け出る。手数料は不要だが、印鑑が必要
  • 金融機関に死亡の事実を知らせる。もしくは新聞の訃報欄に情報を載せると、被相続人の預貯金は凍結される
相続開始直後に気をつけたいこと
  • 通夜、告別式に要した費用や火葬場への支払いなどは相続財産から差し引くことができ、領収証のないお布施や戒名代も含まれます。
  • また、亡くなる前に支払った医療費は準確定申告する時に控除でき、相続後に支払ったものは相続税の申告で未払い金として控除できます。
  • 相続を進めるにあたり、Sさんは親戚から紹介された税理士に依頼したことが、相続のつまずく大きな原因となってしまいました。
  • 専門家に依頼する場合は、事前にホームページなどから情報収集を丁寧に行い、相続の実績を確認しておきましょう。

STEP2 相続相談

タイムスケジュール(2~5ヶ月目) 専門家の実務
1月 ●紹介された税理士に依頼するが、信頼できずにキャンセル 【相続コーディネーター】
●相続相談(約1時間)で現状を把握し、課題を整理する
●相続発生日と相続人を確認し、手続きの進め方の概略を説明する
●相続財産の概算評価をし、申告の要否を判断する
●納税資金や分割金について、遺産分割の希望などをヒアリングする
【税理士、不動産鑑定士】
●土地の面積、路線価、周辺状況から広大地適用の可能性の可否を判断する
●相続税の申告などにかかる費用の見積書を作成
【司法書士】
●相続人を確認する戸籍の収集や確認を行う
●遺言などの参考書類で不動産の名義変更をどのようにするか確認する
2月 ●税理士紹介サイトで、相続に強いという会計士を見つけて依頼
3月
4月 準確定申告
5月 ●会計士に依頼してから進展がなく、不安がピークに
●相続に関連する本を購入し、相続の基礎知識を習得
●相続コーディネーターに相談しようと予約
●相続相談に、不動産の納税通知などの資料は事前に送付
●カウンセリングを受け、節税や納税のアドバイスを受ける
●財産評価と納税額の概算を算出してもらう
●必要書類を預け、費用の見積を依頼
相続相談を受ける時のポイント
  • 相続開始を知った日から4ヶ月以内に、被相続人の1月1日からの所得について申告を行います(準確定申告)。
  • 所得税は相続人が分担することになりますが、遺産分割が決まっていない場合は相続人全員が法定割合で申告することになります。
  • 相続相談では、事前に財産の内容を通知しておけば申告の要不要などが分かるため、相談がスムーズに進みます。
  • こうした相談の場では、相続コーディネーターが信頼できるか、ノウハウを持っているかなどを確認していきます。
  • なお、最初に見積を提示してもらい、確認してから依頼するとよいでしょう。

STEP3 専門家の選択

タイムスケジュール(2~5ヶ月目) 専門家の実務
5月 ●財産評価の概算や節税案の提示があり、内容を確認
●提案は具体的で信頼でき、任せられると判断
●相続コーディネーター、税理士、不動産鑑定士、司法書士の見積額を確認
●他の相続人とも相談し、「相続税の節税」「二次相続の対策」について任せたいと同意を得たが、依頼している会計士への気兼ねがあり、まずはセカンドオピニオンとして委託
●その後、会計士から辞退の申し出があり、相続コーディネーターをメインとして依頼
【相続コーディネーター】
●預かった資料に基づいた「相続コーディネートの見積」を作成
●税理士、不動産鑑定士の見積もコーディネーターが確認して提示する
●相続コーディネートの委任状に署名をもらい、業務を開始する
●専門家をまとめる
●相続税の節税が可能か、専門家で検討、提案する
●二次相続も考えた提案をする
【税理士、不動産鑑定士】
●相続税の申告費用については、税理士が作成
●不動産鑑定評価の費用については、不動産鑑定士が作成
【司法書士】
●不動産の登記費用の見積を作成
節税を大きく左右する税理士やコーディネーター選び
  • 相続が発生した時、長年申告を依頼し、付き合いの深い税理士に頼むケースは少なくないでしょう。
  • しかし、顧問税理士が増税や節税に精通しているとは限りません。
  • 相続は、相続実務や節税のノウハウを持っている専門家に任せることで不安が解消されます。
  • 付き合いの関係上、専門家への依頼が難しいといった場合でも、セカンドオピニオンとして専門家からアドバイスを受けることも可能です。
  • Sさんも、当初はセカンドオピニオンとして相続コーディネーターに依頼しました。
  • また、確定申告は税理士が行い、相続手続きだけ専門家に依頼することもできます。
  • どうすればベストな相続ができるのかを考えて判断してください。

STEP4 財産の調査

タイムスケジュール(6ヶ月目) 専門家の実務
6月 ●相続人と相続チーム(相続コーディネーター、税理士、不動産鑑定士)の第1回打ち合わせ
相続人:Sさん、次姉、母親(代襲相続人は都合で欠席)
相続チーム:相続コーディネーター3人、税理士3人、不動産鑑定士1人
●業務委託契約の締結
●不動産の現地調査の資料と今後のスケジュールの説明
●財産の確認に必要な書類の収集
●母親名義や長姉(故人)の子ども名義の預金があることが気になっており、精査することに
【相続コーディネーター】
●現地調査前に、当日の資料と申告・納税までのスケジュールの作成
●相続コーディネートの業務委託契約をする
【税理士、不動産鑑定士】
●税理士、不動産鑑定士の業務委託契約をし、業務を開始
【全員】
●不動産の現地調査では、全不動産について利用状況、道路との関係、地形、現地と公図の差異、特殊事情の有無を確認し、評価の仕方などを現地で打ち合わせ
●役所、関係各所の調査
【土地家屋調査士】
●土地の測量や利用区分図などが必要な場合は実務を担当
節税のために現地調査は必須
  • 相続開始から6ヶ月目、相続人と相続チームが一堂に会し、初めて打ち合わせしました。
  • 代襲相続人にも資料を用意、Sさんから状況を伝えてもらい、情報を共有していくようにします。
  • 相続では財産の「評価を下げる」ことが課税額を減らすことに繋がります。
  • 特に土地の評価によって相続税額は大きく変わるため、緻密な現地調査が必要となります。
  • 現地調査では、Sさんと姉、母親も同行してもらい、土地について評価減になる要素を確認しました。
  • また、Sさんが気になる家族名義の預金もありました。
  • 税務調査時に調査対象となり、申告漏れの財産として指摘される可能性があります。
  • そこで、精査後に実態に応じて相続財産として加算するようにします。

STEP5 評価と節税案

タイムスケジュール(7ヶ月目) 専門家の実務
7月 ●相続チームとのミーティングに備え、事前に資料を送ってもらい、確認する。相続チームとミーティング。内容は(1)財産一覧と評価の仕方の説明(2)分割案の提示(3)名義預金(4)納税猶予について、など
●分割の仕方により、納税額が変わることが確認できた
●母親が高齢のため、今回特例で節税すると、二次相続では相続税が多くなるため対策が必要だと改めて認識
【相続コーディネーター】
●税理士、不動産鑑定士に評価をまとめて報告してもらう
●分割案の作成
【税理士】
●納税額の違いをシミュレーションする
【不動産鑑定士】
●不動産鑑定評価書の作成と内容を説明する
【司法書士】
●被相続人の戸籍謄本を確認、相続人を確定する
キーポイント:二次相続を見据えて遺産分割
  • 「配偶者の税額軽減が使えない」「基礎控除額が1人分少なくなる」という理由で、二次相続は相続税の負担が大きくなる
  • (1)配偶者固有の財産が多い場合は、配偶者は一次相続ではあまり相続しないようにするのも選択肢の1つ
  • (2)貸家などの収益物件は、配偶者が取得しないことも検討
  • (3)資産価値が上昇しそうな財産は配偶者が取得しないようにすることで財産増加を防ぐ
どの分割案を選択するかを検討
  • 評価が算出できたとの連絡を受け、Sさんは相続チームとのミーティングを行いました。
  • ミーティングでは、財産の内容と評価の確認の他に、分割案についても検討します。
  • この遺産分割案の比較シミュレーションは相続コーディネーターが案を作り、税理士が検討資料を作成します。
  • 大きな方向性としては、「今回の納税額をできるだけ減らして節税する」「今回の納税額は増えても二次相続に備えて分割する」の2つが考えられ、比較検討します。
  • どちらを選択するかは、家の事情に基づいて話し合いで決定します。

STEP6 分割案

タイムスケジュール(8ヶ月目) 専門家の実務
8月 ●遺言書はなかったので、相続人全員で遺産分割協議の話し合いが必要
●相続コーディネーターからの分割案を基に、節税でき、二次相続でも不安のない案を選択
●自宅は母親が相続。その他の土地は同居するSさんがそうぞくし、姉と代襲相続人には現金を渡すことで、全員の合意が得られた
●相続人全員に同じ情報が伝わっており、うまく協力体制が取れた
【相続コーディネーター】
●現状に合わせながらも相続人全員に公平な分割案をいくつか作成する
●税理士に納税猶予額を算出してもらい、分割案に反映
●Sさんが相続する土地を売却し、他の相続人には現金を渡す案を提案
【税理士】
●分割案による納税額の算出
●分割等の違いによる各自の納税額を算出する
【司法書士】
●遺産分割協議書の内容を確認
●相続人ごとの登記費用の見積を出す
【土地家屋調査士】
●売却地の測量を行い、境界確認、地積確定を行う
キーポイント:遺産分割協議書の作り方
  • (1)財産の内容と相続人を特定する
  • (2)相続人全員が名を連ねる
  • (3)印鑑証明を受けた実印を押す
  • ※相続人に未成年者がいる場合は法定代理人、または特別代理人が協議を行う
遺産分割協議はできるだけ早くまとめる
  • 遺産の分割に決められて期限はありませんが、相続税の申告・納税期限である10ヶ月以内に分割が決まれば、各種の税額軽減の特例などが受けられます。
  • 余分な税金がかからずに済みますので、期限は厳守しましょう。
  • このとき、土地を安易に共有すると将来のトラブルに発展する可能性もあるため、共有名義は避けて土地を分割(分筆)することがポイントです。
  • なお、土地の分筆の場合、分筆後に地形が変わる場合は評価が下がり、節税に繋がることもあります。
  • また、相続の税額控除で最も節税効果が高いのは配偶者の税額軽減です。
  • この特例を最大限に生かした分割案を考えます。

STEP7 納税案

タイムスケジュール(8~10ヶ月目) 専門家の実務
8月 ●納税案、分割金の捻出案については、相続人全員で話し合い、相続コーディネーターの提案通りに決める
●納税額に合わせて、利用度の低い土地を売却することを決断。売却を委託
【相続コーディネーター】
●土地に優先順位を付け、残す土地、売る土地の目安を提案する
●土地売却の価額査定書を提示し、売却予定額と手取額を算出する
●売却地だけの遺産分割協議書を他に優先して作る必要になる場合は判断する
●申告期限に合わせて土地の契約、決済の段取りをし、納税に間に合わせる
9月 ●予定どおり売却が進み、売買契約を結ぶ 【税理士】
10月 ●土地の残金決済を行い、残金を受け取った 売却による譲渡税などを算出
キーポイント:土地の一部を売却する時は優先順位を付ける
土地に優先順位を付けて売却する
  • 納税にあたっては、資金計画が非常に重要です。
  • Sさんの例では、分割金も考えると預金だけでは足りず、土地の一部を売って納税資金を捻出する必要があります。
  • 複数の土地がある場合は、利用度に応じて優先順を付け、どの土地を売るかを検討し、選択します。
  • どうしても売りたくない場合は売却せず延納することも可能ですが、返済原資と担保が必要になります。
  • なお、売却する土地は代表者が相続し、契約の実務も担当した方が煩わしさがありません。
  • また、売却した土地の代金を相続財産の分割金とするためには、遺産分割協議書に代償金とする内容を記載するようにします。

STEP8 申告と納税

タイムスケジュール(9ヶ月目) 専門家の実務
9月 ●遺産分割協議書の内容を確認し、合意の上、全員が実印を押して完成
●相続税の申告の内容について、税理士の証明を受ける
●全員で申告書に押印し、申告の提出を税理士に委託した(税理士が申告書を税務署に提出するため、相続人が出向く必要はない)
●相続人全員が各自の相続税の納税を済ませる(配偶者は納税不要)
【相続コーディネーター】
●遺産分割協議書どおりの内容になっているか、財産の記載漏れがないかなど、相続税の申告書を確認する
●相続税申告書の調印日の段取り
【税理士】
●相続税の申告書の作成
●調印が終われば、申告書の提出も税理士の業務
【司法書士】
●遺産分割協議書の押印などの漏れがないかを確認
キーポイント:税務調査の対象となる項目例
  • ※Sさんの場合、名義預金の大半は相続財産として申告。
  • ただし、名義人のものと特定できる場合は除外した
  • 自宅の金庫や引き出しなどに財産がないか
  • 貸金庫の中に財産(現金・株券・金塊など)はないか
  • タンス預金などの現金はないか(直前に引き出されたものなど)
  • 被相続人からの現金の贈与や貸借はないか など
日時を設定して相続人全員で調印
  • 相続税の申告書作成は税理士の仕事ですが、相続コーディネーターも遺産分割協議書どおりの内容になっているか、財産の漏れはないかをチェックします。
  • 相続税の申告期限を厳守するため、税理士が申告書の内容や相続税額についての説明をした上で、スムーズに相続人全員の調印を終えておきましょう。
  • なお、調印日は相続コーディネーターが調整します。
  • 実際の申告は税理士が行うため、相続人本人が直接税務署に行く必要はありません。
  • 仮に申告期限までに遺産分割協議が終わっていない場合、未分割のまま法定割合で相続税の申告をし、納税することになります。
  • この場合、減税の特例などは使えなくなりますが、分割がまとまった時に更正請求をすれば、納付した相続税は還付されます。

STEP9 名義変更

タイムスケジュール(9~10ヶ月目) 専門家の実務
9月 ●登記委任状に署名・押印し、司法書士に不動産の名義変更を依頼
●金融機関で預貯金の名義変更(父親→相続人)
【相続コーディネーター】
●登記に必要な書類一式を確認し、司法書士に渡す
【税理士】
●相続税申告書の受理印のある控えを相続人に渡す
【司法書士】
●法務局に登記申請をする
●法務局が数ヶ所の場合は、順番に登記していく
10月 ●登記が完了した連絡があった
●相続人に代償金を支払う(代償金の支払後、各自納税)
キーポイント:財産の名義変更に関する主な手続き
手続きの種類 手続き窓口
不動産 不動産の所在地を管轄する法務局
株式 証券会社または株式の発行法人
預貯金 各金融機関
自動車 陸運支局(軽自動車は各軽自動車検査協会)
電話 各NTT
生命保険契約 保険会社
ゴルフ会員権 運営会社
借地借家契約 地主・家主
金融機関は相続人、不動産は司法書士が
  • 金融機関の名義変更や不動産の名義変更(相続登記)も行わなければなりません。
  • 金融機関の方は相続人が行うのが原則です。
  • 遺産分割協議書、相続人全員の実印押印、また金融機関ごとに印鑑証明書(3ヶ月以内)が必要になるので、準備しておきます。
  • 相続登記の際は、登記免許税の納付が必要になります。
  • 相続後に取得した戸籍関係書類や印鑑証明書はずっと使えます。
  • 特別な事情がなければ、相続税の申告を終えてからまとめて相続登記をするとよいでしょう。
  • なお、近いうちに解体する建物は登記せず、亡くなった人の名義のまま解体し、滅失登記もできます。

STEP10 生前対策

タイムスケジュール(10ヶ月目) 専門家の実務
10月 ●申告、納税、分割など、相続手続きは終わったが、二次相続に向けて生前対策の提案を再確認
●不動産管理の法人設立に関心があるので、提案をしてもらう
【相続コーディネーター】
●母親独自の財産を確認し、相続診断をして対策を提案する
(1)財産の確認、評価、整理
(2)課題の整理、解決
(3)相続対策の提案を検討し、実行する
●母親の生前対策の実行をサポート(土地活用、資産組替、公正証書遺言作成など)
●法人設立の判断材料の作成を税理士に依頼
●具体的な節税対策の実行をサポート(資産組替、土地活用など)
【税理士】
●法人設立のシミュレーションを作成
【司法書士】
●法人設立登記
キーポイント:生前の主な対策リスト
  • □遺言書の作成
  • □納税資金の準備
  • □資産組替
  • □生前贈与
  • □不動産の購入
  • □不動産の有効活用
  • □不動産管理会社の設立  など
来るべき相続に備えて対策を講じる
  • Sさんは円滑に遺産分割を行い、大幅な節税ができ、満足のいく相続となりましたが、相続はここで終わりではありません。
  • 来るべき母親の相続を見据え、生前対策を行っておく必要があります。
  • 今後、さらに相続税の負担が増えることが確実視されています。
  • 相続コーディネーターを中心に、専門家がチームを作り、継続して今後の課題を整理し、相続対策を実行していくことになります。
  • また、将来的に相続人同士でのもめ事を避けるため、相続人全員でコミュニケーションを取りながら遺産分割を決め、節税対策にも着手し、全員の合意を得て母親に遺言書を作成してもらえば、円滑円満な相続の時を迎えられるでしょう。

まとめ・相続コーディネートの提案とプロセスを整理しよう

対策前の課税価額 11億2500万円
相続税 3億2475万円
評価 小規模宅地の特例 3720万円の評価減→ 1563万円の節税
駐車場Aに広大地評価 6840万円の評価減→ →2736万円の節税
(売却し、納税・分割金に)
駐車場Bに広大地評価 7030万円の評価減→ 2712万円の節税
駐車場Cに広大地評価 1億5490万円の評価減→ 6196万円の節税
高圧線下の評価 1860万円の評価減→ 744万円の節税
(売却し、納税・分割金に)
墓地隣接による評価 1100万円の評価減→ 444万円の節税
対策後の課税価額 7億6460万円
相続税 1億7980万円
配偶者の税額軽減(50%)→8990万円を納税
節税額 2億3485万円
  • (1)遺産分割のポイント
    Sさんの相続にあたっては、配偶者は二次相続対策ができる土地を優先的に相続することと配偶者の税額軽減の特例を最大限受けられるよう、財産の半分は母親、残り半分は跡継ぎであるSさんが大部分を相続し、代わりに次姉と亡き長姉の代襲相続人(長姉の子)に代償金を支払うことにしました。
  • (2)評価・申告のポイント
    所有地は自宅が2000平方m、駐車場用の土地も500平方m以上あるため、広大地評価を適用することで節税するようにしました。駐車場A、B、Cは広大地評価による評価減をしました。現地調査で土地の奥行きと周辺の戸建て分譲住宅の規模を確認、広大地評価の可否を判断します。特に駐車場Cは用途地域の境で取得者を分け、マンション適地を除くことで広大地評価を採用できるようにしました。
  • (3)納税と資金計画のポイント
    納税は土地を売って費用を捻出しなければならず、現地調査後すぐに、高圧線下の土地と駅から一番離れた駐車場の2ヶ所と決めました。その後、申告準備と並行して売却活動を開始し、申告期限までに売却代金で納税ができました。また、父親が残した預貯金は、最大限に節税してようやく納税できる程度の額で、姉と代襲相続人への分割金が不足したため、土地の売却金を現金にし、代償金として渡すことで円満な財産分割ができました。
  • 不動産を持つ人は不動産に強い専門家が不可欠
    不動産の現状を知らない専門家も多い 相続では「不動産」の扱いが課題になります。「不動産があるから相続税がかかり、納税が難しい」「ここに違い、評価が難しい」「不動産があると分けにくく、もめてしまう」といった声を聞いたこともあるでしょう。いってみれば、相続では不動産の知識がないと節税もできないという実情があります。それほど重要なのにもかかわらず、不動産の現状を知らないばかりに、安易に不動産の共有を勧める専門家が多く、不動産を共有してトラブルになるケースが少なくありません。
  • 不動産の専門家のサポートがカギ
    相続税がかかる相続の場合は、相続財産の中に不動産、特に「土地」が大きな割合を占めていることがほとんどです。「土地」をどう評価し、どう扱うかが大きなポイントとなります。土地を活かすことで節税でき、相続を乗り切ることができ、財産を継承する価値も生まれます。相続の実務を進めるにあたり、土地の売却や土地の有効利用といった実務経験や知識を基にした提案やサポートが必要となります。相続のチームに不動産の専門家は不可欠であるといえます。専門家に依頼する場合は、相続や不動産の知識があり、節税の意識が高い人に依頼するのはもちろんですが、相談者の立場に立って話を聞いてくれるかどうかも大きなポイントです。
  • ポイント 専門家に依頼する時は、「不動産の知識」「節税意識」と「実績」があるかどうかを確認する

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2013年3月29日
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